今更ながら、佐々木俊尚さん「電子書籍の衝撃」レビュー。



電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)
佐々木 俊尚
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 171,782

この本は2年前(2010年)に読んだ本。
いま、こうしてブログに電子書籍ネタを書いているのも、
一ビジネスマンとして成し遂げたい夢の一つに電子書籍関連が入っているのも、
もしかしたSNSに興味を持ったのも、
この一冊がきっかけだったかもしれない。

そんな、自分にとって大きな影響を与えてくれた本を
あえてこのタイミングで再読することにした。

2年前とは電子書籍にかかわる
市場も、環境も、印象もだいぶ変わってきている。

でも、この本では大きく、
・これまでの出版業界の慣例(過去)
・電子書籍がもたらす新しい世界(未来)
の二つが書かれているので、
その中間期にある(現在)に読んでも
大きな違和感は感じなかった。

その中でとくに印象深かった部分を個別に書いておく。

◆プラットフォームとして市場を支配するために必要なこと
 ・多様なコンテンツが安く豊富にそろっていること
 ・使い勝手が良いこと
 ・アンビエントであること
とある。
この考え方は同意できるし、そうあるべきだと思う。
ただ、今思うことは、もう一つあって、
 ・プラットフォーム内外のサービス提供プレイヤーの台頭
といったところだろうか。
これはつまり、
いくらプラットフォームが強力で確固たるものであったとしても、
ユーザーがそのプラットフォームを利用するためには、
別のプレイヤーが必要なんじゃないかと思っている。
具体的には、ネットワークに繋がった読書体験をさらに便利にし続けるサービス。
既存プレイヤーだと、ブクレコ ブクログ のような
レビュー・レコメン・シェア機能を提供するサービスや、
続々登場しているリーダー(汎用機含む)などが当てはまる。
つまりは、別の章で佐々木さんが書いているような
プラットフォームから派生するエコシステムの重要性が一層増している環境になってきている。

◆今も引き継がれる流通プラットフォームの問題点
従来の書籍流通の問題点を指摘している章だが、
単に悪いところだけではなく、そのプラットフォームがあることによってもたらせれたメリットに
関しても引用されている。
 ・大量生産によるコストダウン
 ・あらゆる人にとって書店の敷居が低くなった
 ・一般大衆においても書籍によって知とつながることができた
という3点。
従来の出版業界に対しては、ネガティブな印象が強かったが、
この一節で、多少はその利便性も理解できた。
んが、しかし、上記のメリット3つは、
電子書籍プラットフォームが完成することですべて賄える。
ってことに気づいてしまったので、
やっぱり既存のステレオタイプな出版業界には疑問を持たざるを得ない。
近々どこかで誰かがエイヤッな行動を起こさなければ、
この問題はなかなか解決しないだろう。

◆書店の中にコンテキストを作った~~~~
書店の棚を文脈(コンテキスト)で括った書店の話。
実際には、運用が困難でなかなか普及しないという。
まぁ、扱う本の内容を一応は把握しておかないとできない業態ではあるともう。
んが、しかし、この問題はネットワークに繋がった電子書籍プラットフォームであれば
工夫次第で容易にできる気がした。
今の電子書籍ストに関しても、基本的には売れ筋商品や新刊が
サイトのトップに露出されている。
これでは電子書籍のメリットは半減してしまう。
ただ、ソーシャルな環境下の電子書籍ストアができたらどうだろう?
ユーザーがレビューを書き、フォローし、シェアされ、共感され、繋がっていくことで
自分独自のコンテキスト本棚が勝手に出来上がっていくイメージ。
ストアにアクセスする度に異なる書籍が表示される。
こんなストができたら面白い。
また、いわゆるレコメン機能に関しても、
単に「この本を買った人は(別の)こんな本も買ってますよ」的なレコメンだったり、
上っ面だけで似たような本の紹介を機械的にされても全く買う気は起きない。
でも、ネットワークに繋がった電子書籍のレコメンでは、、、
「いま、(趣味嗜好を切り口に)何処何処の誰々は○○という本を読んでますよと」
教えてくれる。(ネットワークのリアルタイム性)
その本を購入し、読みながらチャット的なコミュニケーションんが図れる。
twitterのフォロワーのような関係性を築き、
「次は何読みます?」とか「これの前は何読んでました?」とか、
「あなたの友達は何読んでます?」とかっていうコミュニケーションができる。
これが積み重なることで、機械的に勧められるレコメンではなくて、
自ら情報を取りに行く新レコメンスタイルが生まれるんじゃないだろうか?

自分好みの情報を自分が作り上げた圏域で循環させることで、
売れ筋や新刊のようなパッケージされた本だけではなく、
フラットな商品群を発生させることができ、
結果として書き手にとっても読み手にとっても
心地よい読書空間を作ることができる。

と、長々書いてはみたが、
ほかにも共感できる部分や、納得できる部分がたくさんあった。
この本、2年後くらいにもう一度読んでみても面白いかもしれない。
改めて電子書籍の未来に思いを馳せた読書時間であった。


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booklista(ブックリスタ)のストア毎ランキングが面白い



先日、booklistaの2011年ランキングに関して書いてみたが、
今度は各ストアごとの週間ランキングについて。

正直、こっちのほうが面白いランキングになっている。

今週のランキングはこちら↓*1
[ booklista ] booklista 今週のおすすめ書籍

◆ソニーリーダー

・運命の人(一) 
・透光の樹
・運命の人(三)
・運命の人(四)
・運命の人(二)

◆LISMO

・女医が教える 本当に気持ちのいいセックス
・ストロベリーナイト
・田舎の刑事の趣味とお仕事
・シャドウ
・L・DK(6)

◆Raboo

・面白くて眠れなくなる数学
・ストロベリーナイト
・鮫島の貌(かお) 新宿鮫短編集
・これからの「正義」の話をしよう
・パナソニックがSANYOを買収する本当の理由

となっている。(2012年1月27日更新分)

このランキングに関しては、ストアごとに出てくる本が全く違う。
booklistaという同一のディストリビューターから
コンテンツの提供を受けているので、
基本的には品ぞろえは同じなんだと思う。
では、この違いはどこから来るのだろうか?

ざっと思うに、リーダー所有者層の違いなんだろうか?
勝手にペルソナ妄想すると、

◆ソニーリーダー
30~40代 男性 会社員
電書を読むのは主に通勤および移動の電車の中。
紙の本から電書に移行したつもりは別にないが、
とはいえ仕事終わりに家で本を読む時間もとれず、
結局電車の中くらいしか本を読む時間がない。
カバンにはいつも1~2冊くらいは本を入れていたが、
重たくて困っていた。
最近では電子書籍関連の話題も周りに増えてきたし、
いっちょ買ってみるかと家電量販店へ。
いろいろ比較しようにも、電子書籍リーダーという売り場には
数種類しか商品がなく、ipadなどの汎用機と迷った結果、
信頼できるSONY製の専用端末を購入。
読んでいる本は、ビジネス関連、文芸、新書など。
文芸といっても、ジャンルはそこそこ広く、
話題になっている小説だって読むし、
ストアのレビューも参考にする。
でも、結局よく買ってしまうのは昔からファンの著者の本。
電車の中でその時の気分によって、
いろんなジャンルの本を読み分ける。

◆LISMO
20~30代 男女
携帯はauのスマホ。
電子書籍がちょっと話題になったからKDDIの端末を買ってみた。
twitterもFacebookもアカウントは持っている。
はやりには結構敏感なほうだと思っている。
本を読むのは、電車の中か、仕事中にちょっと寄った喫茶店(カフェ)で。
昔から古典文学やビジネス関連など堅そうな本はあまり読まない。
どちらかというと、ライトノベルや軽く読める小説が好き。あとマンガ。
でも、友達や家族とはあまり本の話はしない。
ちょっとマニアックだし、ちょっと恥ずかしいしで、あまり話が合う人がいないから。
本を選ぶときは、まずはランキングをチェック。
最近売れている本は大体知っている。
表紙やタイトルで、サラッと読めそうと思ったらたまに買ってみる。
ほかにはレビューやレコメンを重視。
結局、いつも買うジャンルは固まってしまう。

◆Raboo
20~30代 男女。
買い物はネット通販が多い。
これまでは本もamazonで買うことが多々。
本屋で本を探して、amazonで買う なんてこともしょっちゅう。
電子書籍には興味はあったが、まだ時期尚早と思い、
リーダーは気にはなっていたけれど、買ってはいなかった。
ところが楽天が電子書籍に参入というニュースを見て、
「ついに来たか」といきなり大本命視でリーダーを購入。
紙の本とリーダーを共存させ、
家の中ではハードカバーの新刊(amazonで購入)
電車の中では昔読み逃した本や、エンタメ系をこっそり読んでいる。
電子書籍で本を読むことよりも、実はストア内でいろいろな本を探したり
いろんな人のレビューを読むのを楽しんでいる。

みたいな。
勝手なユーザー像です。
ほんとのことは知りません。

でも、他のストアにおいても
ストアによってランキングが異なったり、
ユーザー層が異なれば、
運営側は難しくも楽しいだろうな。

ディストリビューターであれば、
提携ストアに対してストア毎のユニークなプロモーションなんかも可能なんだろうな。

あぁ、、、楽しそう。。
こういう仕事したい。

*1:1月末現在


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booklista(ブックリスタ) 2011年ランキングより 雑感




booklista(ブックリスタ)のランキングを見ての所感。
[ booklista ] booklista ranking 2011

年末に発表された2011年の総合ランキング
年間1位は、、プリンセス・トヨトミ
プリンセス・トヨトミ

総合
・プリンセス・トヨトミ
・悪人
・探偵はバーにいる
・のぼうの城
・神様のカルテ
・スティーブ・ジョブズ?
・これからの「正義」の話をしよう
・八日目の蝉
・・

全部知っている本だ。
というより、リアル書店でのランキングとおそらく大差ないような気がする。
映画化されたものや、話題になったもの。
この現実をどう捉えるかなんだが、
リアル本と電書がカニバッているとも受け取れるし、
人気のあるコンテンツはパッケージがどうあれ売れる とも受け取れる。

本(というかそのコンテンツ)を購入するときには何を基準に買うんだろう?
・ランキング
・レビュー/口コミ
・装丁(本のデザイン)
・そもそも著者のファン
・出版社(←これってないと思うな。○○出版だから買う とかないよね)
とかあるんだろうけれど、
電書に関してはさらに、
持っているリーダー(ガジェット)やアプリで読めるか否かという、
そもそもの話もある。

たぶん、現状では、いわゆるアーリーアダプター的な人が
とりあえずなんでもいいから電書を読んでみようと思って、
当たり障りのないリアルランキング上位の本を買ってみた みたいなところなんだろうか。

もうちょっと先の未来には、
リアル書店のランキングと この電書ランキングに差が出てくるんじゃないだろうか。
というか、出てきてほしい。
どういう差が出てくるかは、もう少し考えて予想してみることにする。

booklistaのランキングには、文芸・コミックという2ジャンル毎のランキングも
掲載されているので、そっちも見てみよう。

文芸
・プリンセス・トヨトミ
・悪人
・探偵はバーにいる
・のぼうの城
・神様のカルテ

コミック
・モテキ
・進撃の巨人
・聖☆おにいさん

うん。総合ランキングと傾向は一緒だね。
文芸にしろ、コミックにしろ、
今話題の本がランキング上位に出てきている。

ただ、コミックに関しては、
一昔前のガラケー電子マンガ同様に、
アダルト系やマニアック系は今後入ってくると予想される。
ニーズは間違いなくあると思うんだが、
あとはそういうコンテンツをどこから買って、どこで読むか?なんだな。

と、booklistaのランキングだけを見ていると、
まだまだ電書ならではの特徴みたいなものは見て取れなかった。
(いや、詳細に分析したりすればなんかあるのかも知れないけど)

ある程度予想しうる結果とはいえ、
もう少し電書ならではの結果が出てくると面白いな。

電書ならではの特徴(ネットワークに繋がっていることとか、リッチコンテンツとか)を
全面に押し出したコンテンツを作ってbooklistaが配信したら
どんなことが起こるんだろう?

ユーザーに受け入れられないのか?
それとも、そこに面白さを感じてくれて購入~シェア みたいな
未来があるんだろうか?

いずれにしても、理想の電書ワールド実現には
もう少し時間がかかるんだろうな…。

そして、2012年のランキングではなにが起こっているんだろうか?
それはそれで楽しみだ。


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電書に欲しい機能 その2




こないだのエントリーで、書いた「電書に欲しい機能」

考えてたら楽しくなって、その2を書くことにした。

買って読んでみた本が、思いのほか楽しかった時、
もう一度読みたくなるし、
レビューを書きたくなるし、
人に勧めたくなるし、
頭に残しておきたくなる。

でも、たとえば読書に充てる時間は
毎日の通勤や電車移動中の1時間くらいしかなくて、
1冊読み終わるのに1週間かかってしまうとする。

すると、読み終わっても、
最初のほうとか忘れちゃってたりして、レビュー書きづらくなってたり、
かといって、もう一度最初っから読み直すのもなんだか億劫だし、
そのころには別の本買っちゃってたりするし。。。

そんな時、電書だったら、、、(以下妄想)
読み進めていて気に入った部分や重要そうな部分は
指でなぞって線を引いておく。
そのまま最後まで読み進める。

読みあわったたとには、
線を引いた部分がtogetter みたいにまとめられたページが出来上がっている。とか。
よくない?これ。

もう一度読み直したい時も、最初から全部読み直す必要もないし、
レビュー書くときも、まとめページを見ながら書けるし、
名言的な部分はそのままtweetできるし、
自分のコメント足してシェアすればキュレーションサービスにもなるし。

こんなんできないかなーーーーー。


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最強の電子書籍プラットフォーム




相変わらず電書のことばかり書いている。
いいじゃん。そこには果てしない夢があるんだもの。

さて、今日も東芝が電書リーダー(?なのか?)を発表するなど
新しい動きがあった。
いま、日系の電書リーダー・電書ストアは結局いくつあるんだろうか・・?
まとめサイトでも纏めきれないくらいとっ散らかった現象はいつになったら解消するんだろうか?

自論私見ですが、今新しいストアを立ち上げても、
そこで勝負するのは難しいと思う。
蔵書点数が数百万点とか、
なんかすごいギミックが常に搭載されているとか、、、
なんかすごい特徴があって、
従来の電書をはるかに凌駕する(新しい価値)が付加されていない限り、
まだ勝負はできないんじゃないだろうか?

なぜなら、まだ市場が出来上がっていないから。
未開拓の地にお店を出して、「客が来ないっ!」って嘆いているようなもんで。

もちろん、市場を創るためにはお客さんがいて、商品(サービス)があって、
それを提供する店があって、お金が流通することが必要。
だから今は徐々に市場が出来上がるのを待つしかないんだと思う。

でも、プレイヤー全員が待ってしまっては当然コトは動かず、
せっせと血をめぐらすことが必要。

今時点での最重要プレイヤーって誰なんだろうとかんがえた。
①ユーザー(当然)
 まだ電書派はマイノリティーかな。
 でも、らくらくフォンの様に、必要性をデザインすれば
 必ずニーズは掘り起こせる。(←こないだ読んだ本に書いてあった…)

②ストア
 うーん、今の市場規模ではすでに飽和な予感。
 市場が拡大するのが先か、淘汰されるのが先か…?
 なんせ、特徴が必要だとは思う。

③ディストリビューター
 今はここが最重要なんじゃないだろうか?と個人的には思う。
 市場が出来上がっていない状態で、ストア側がいくら頑張っても
 やっぱり電書は売れず、逆に「やっぱ電書は盛り上がらないな」って
 ネガティブな印象だけしか残らない。
 ではなくて、自前のストアを持たないプレイヤーが
 オープンな(水平)プラットフォームを作ることができれば、
 そこを中心にエコシステムが出来上がるのではないだろうか?

④(リアル)本屋
 本を読むのにデジタルか、本(冊子)かという二者択一である必要はなく、
 ニーズやコンテンツの特徴に応じて読みわかればいいと思っている。
 であれば、餅は餅屋、本は本屋で、
 本屋さんが電書ストアを出すのが一番理に適っている気はするんだな。
 紀伊国屋さんみたいに。
 
⑤総合プロデューサー
 なんじゃそりゃ?
 いろいろな相関図を見ても、なんせ登場人物が多い。
 配信するプレイヤー、電書を売るプレイヤー、
 フォーマット化するプレイヤー、ガジェットを生産するプレイヤー などなど。
 各々が自分の(もしくは親会社の)ドメインだけで勝負しようとすると
 いろんなところに歪が起きてちぐはぐになる。(すでにこの現象は起きている)
 ・自分でいいと思ったものを
 ・自分で作って
 ・自分の店で
 ・自分でいいと思う方法で
 世の中に送り出す。
 というプレイヤーがいれば、一気通貫でシンプルになるんじゃないか?
 (服でいえばユニクロみたいなビジネスモデルなのかな)

と諸事情知らないくせに勝手な想像をしてみた。
仮に、この想定のなかで考えると、
現時点ではbooklista が重要なんじゃないかと。
http://www.booklista.co.jp/index.php
今はまだ特定のストアにしかコンテンツを卸していないが、
(これは成り立ちからしてもある程度想定したが)
きっとオープンな戦略をとっていくんだと思う。
そうした時に、booklistaというディストリビューターを中心に
その周りに出版社(もしくは著者)やストア、制作会社、メーカーなど
いろいろなプレイヤーが自由にサービスを提供できる
大きなプラットフォームが出来上がるんじゃないか?

自前のストアを持たないことによる展開の自由さがあり、
これがうまくはたらけば、amazonよりも大きなプラットフォームになる可能性がある。

個人の勝手な妄想だけで書いてます。
事情が違ったり、本当はもっと複雑だったりするんだとは思いますが、
妄想なんで勘弁してください・・・。


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