TEDオススメ:医師が語る、ミスを受け入れるシステムの必要性




f:id:hkei16:20120421221206j:image:w640

ブライアン・ゴールドマン: 医師も失敗する。そのことを語ってもよいだろうか? | Video on TED.com

TEDにはさまざまな職業の人が登壇する。
ブライアン・ゴールドマンさん。
この方はお医者さん。

ご自身の失敗の経験から、医療の世界の不健全なシステムに警鐘を鳴らす。

全般的に、医療の世界の話ではあるが、
他の職業世界にも通じるものがあるので、
一般的なビジネスマンモデルに解釈してレビューを書いてみる。

「健全な恥の感覚」が否定される世界がある。
健全は恥の感覚とは、
反省のあまり、こんな失敗は二度としないと誓うようなもの。
こういう健全な恥の感覚からは教訓を得ることが出来る。

しかし、不健全な恥の感覚は、人を精神的に追い込む。
「君がしたことが悪いんじゃない。君が最悪なんだ」という心の声が自分を苛む。

時とともに最悪の感情は和らぎ、自分自身と約束する。
「自分自身がもっと努力をして完璧にする。もう決して過ちは犯さない」と。

しかしまた失敗はする。
Do you remember?
同僚や他人からこんな言葉をかけられる。
どんな気分だろうか。

失敗が完全に否定される世界が存在する。
医療、防災、インフラなどがそんな世界だろう。

確かにミスはないほうがいい。
しかしここで問題なのは、失敗をしたことそのものではない。
孤独で恥ずかしくて支援もない。そんな状況自体が問題。
何か大きなミスをしたとき、
そこから得られる教訓や経験を伝えるための手段が必要なのだ。

医者に限らず、こういう状況はありうる。
ただ、医者の場合はミスが人の生命にかかわることもあるが、
一般人の仕事においては、ミスが命まで奪うことはそうそうない。
だからと言って、ミスを隠ぺいしたり、自分一人で押しつぶすことが
はたして健全なシステムだろうか?

日本においてもゼロリスクという幻想がはびこっている。
この幻想ものとでは、
ミスを犯す人間や仕組み自体を排除する。後には安全な人だけが残るというシステムを作る。
という手法が往々にしてとられることが多い。
これでいいのか?
ゴールドマンさんはこのやり方に対して二つの問題点を提示している。

問題1;ミスがないなんて状況はあり得ない。常にどこかでミスは起こっている。
問題2;日々進歩する新しい技術・新説に全員が追いつけているわけではない。

結果、ゼロリスク幻想のものとで構築されたシステムを遂行しようとすると、
その世界から人はいなくなる。誰もいなくなる。

こんな世界では、自分のミスを人に話したくはなくなる。排除される可能性があるからだ。
しかし、本当は語りたいし、聞いてほしい。
それができる環境が必要で、さらには文化を改める必要すらある。

医師だろうがビジネスマンだろうが、
その世界に生きるすべての人を再定義する必要があるのではないだろうか。
これまでの常識・慣例・タブーを必要に応じて打ち破り、
より良い社会・システムを構築する必要性に気づいた人が
やり方を考え、実行する。
こんな当たり前のことができるように自分を再定義する、

もちろん、ミスを誇る必要はないが、
ミスを自ら開示し、そこから得られる経験や教訓を
他の人にも教える。
他の人が自分の失敗を話すときには励ます。
誠実な支援の想いがあれば誰にとってももメリットがある。

人間がやることにミスはあると認め、
それを受け入れることでシステムは進化し、
仕組みが出来上がっていく。
間違いに気づきやすいシステムへ変遷していく。

仕事でミスをしたとき、人間関係でミスをしたとき、
人は大きな後悔を感じるが、
時間とともに前向きになれていく。
ミスを忘れるというわけではないが、
その事実を自分の中で上手く消化していくのだろう。

このプレゼンを見ていて思った。
TEDに出てくる人の意見には共通点が多い。
たとえば、今回のゴールドマンさんの話と、
こないだエントリで書いた、

TEDオススメ:「後悔」に関する名プレゼン。後悔から得られる人生最大の気づきとは。

キャスリン・シュルツさんの「後悔を後悔しない」というプレゼンは
状況や主題はもちろん異なるが、
結論に近づくにつれ、内容がリンクしてくることがある。
TEDを見続けることのメリットはこんなこともあるのかもしれない。


follow us in feedly

TEDオススメ:アイデアが生まれる。神が降りてくる的な瞬間。




f:id:hkei16:20120407230452j:image:w360

ありますよね。
何かが降臨する瞬間。

Elizabeth Gilbert on nurturing creativity | Video on TED.com
エリザベス・ギルバート “創造性をはぐくむには”

アイデア
想像力

笑いの神
などなど。

この現象をエリザベス・ギルバートさん
(これ書いた人。↓)

食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探究の書
エリザベス ギルバート
武田ランダムハウスジャパン
売り上げランキング: 53648

という作家が合理的に(?)説明してくれました。
なんとなく納得できるような、できないような・・。

そもそも、このプレゼンで彼女が問題提起したのは、
芸術性は必ず最終的に苦痛をもたらす。
ということ。

つまり、
クリエイター、アーティスト、作家もそうですが、
創作活動に携わる人々(総称して芸術家)は
作品を創り出すというプレッシャー、
そして、一度世に認められるような作品を出してしまった後のプレッシャー、
芸術家は常にそのような社会的なプレッシャーに押しつぶされそうになっていて、
精神的にも肉体的にも苦痛を感じている。
ということが当たり前にとらわれてしまっている思想に対して、問題を提起している。

彼女がこの考えへの対抗として論じているのは、
芸術作品は天才的な才能を持った個人が創り出しているのはなく、
一生懸命に創作しようとしている個人のもとに、精霊(Genius)が寄ってきて、
芸術家と精霊の共同作業で創り出される。

というもの。

正直、TEDのプレゼンでなかったら、一蹴してしまいそうな結論。

でも、わからんでもない。
僕は芸術家でもクリエイターでもないが、
それでも創造力が必要な仕事はしている。

なんてことない瞬間(多くの場合は、咄嗟に対応できない瞬間)に
アイデアが突然湧いてくる なんていう経験はいくらでもある。

それが自分の才能なんだと結論付けてしまった瞬間に、
そこには自惚れが生まれ、同時に次回に向けての
プレッシャーにぶち当たることにある。

では、突然のアイデアが、気まぐれな精霊のおかげだとしたら?
自分が出した結果に対して謙虚になることができ、
そして、精霊がいるときといない時でアウトプットが異なるのは当然と
思ってしまえば、次回へのプレッシャーは少なくなる。

彼女の論に科学的な根拠なんてないけれど、
でも新しいアイデアが欲しい時って、
トイレ行っている時や、帰りの電車の中とか、
仕事から一歩離れたときが多い。
そう考えると、謙虚でプレッシャーが少ない心理状況でいたほうが
創造的なアイデアが出るというのは、なんとなく納得できてしまう。

TEDの中にもこういう不思議なプレゼンがあることにも驚いたが、
それ以上に、この不思議なプレゼンに妙に納得させられてしまった自分にも驚いた。


follow us in feedly